ノーダメージ/佐野元春 1983年
佐野元春初のベストアルバム。初のチャート1位をとったと思う。
おそらく邦楽のアルバムで一番聴いたのはこのアルバムだと思う。
日本のポップスをカッコいいと思って気に入って聴いてたのはこの頃が最後で、以後は邦楽から遠ざかってしまった。
サザンオールスターズではなく、吉川晃司ではなく、BOØWYでもなく、大瀧詠一でもなく、佐野元春だった。
シングルコレクションの趣があるが、サウンドとしては一貫して奇をてらわずオーソドックス、しかしキャッチーでポップ。流行りのハイテクニックではなく、当時最先端で洒落た音色の選択。そこに佐野元春の曲と歌詞と歌唱が乗ると、それだけで高校に入った頃の自分を取り巻く空気になる気がする。
今はもう会うこともない当時の彼女や仲間や、すっかり景色が変わってしまった通学路や街並みと、自分の部屋からの眺めなどが色鮮やかに思い出される。
高校入学直前にサンボーンの影響を受けた自分と同じように、ニューヨークサウンドに影響を受けた佐野元春が目指していた音楽には、他の日本のポップスにはない同じ匂いがしたのかもしれない。
今でもたまに無性に聴きたくなる。年をとっても味わいが変わらない若いながらも深みのあるヴォーカル。数少ない邦楽の愛聴盤。
佐野元春のキャリアとしては次作の「VISITORS」が最高傑作だと思う。音楽的な尺度からは少し離れしまうが、自分のパーソナルに根付くプライベートではこの「No Damage」が珠玉の銘盤だ。
寄る年波には逆らわない。

