ムーンライト・セレナーデ/カート・エリング 2001年
自分史上最も珍しいと思う、唯一と言っていいお気に入りの男声ジャズヴォーカル。
古くはサッチモ(ルイ・アームストロング)やチェット・ベイカーなど何故か歌うトランぺッターが多く、ビリー・エクスタインやナット・キング・コールくらいしか思い浮かばない男性ジャズヴォーカル。
ぜんぜん食指が動かず、演奏する機会も稀。ビリー・エクスタインは一度演奏する機会があり一枚持ってますがそれ以来ほとんど聴かず。男声ジャズヴォーカルと演ったのも30年前のそれっきり。
映画になったチェット・ベイカーもシングスを買ってはみたもののイマイチな感じ。
歴史的にもマーケティング的にもかれこれ半世紀ほどのあいだ完全に忘れ去られた存在になって久しい(個人の感想です)ので完全にノーマークでした。
そんななか、腐らず鋭意努力を続けたカート・エリング。これ、何のきっかけで知ったたか忘れましたが、ポチっと衝動買い。そしたらこれがまあ素晴らしいったらありゃしない。超大当たり!
歌声は、ほとんど歌詞付きのテナーサックスのよう。
特にこのアルバムの冒頭の表題曲の出だしは、完全にインストゥルメンタルと同一の技量で奏でられ、ホントに一瞬テナーサックスかと聴き紛う奇跡的な発声。
「You Don’t Know What Love Is」に至っては、ロリンズとコルトーレーンの同曲に比肩する名演だと思う。
スキャットというかフェイクというか、そういう随所にみられる歌の技量はもちろんだけど、伝える力と言うか表現力というか、とにかく訴えかけてくるものがすごい。
現代、唯一、自分が納得して聴ける男声ジャズヴォーカル。ちなみに同い年。
コロナ禍が一段落し、もし機会があるのなら死ぬまでに一度ライヴで聴いてみたいです。

