ワンス・アポン・ア・サマータイム/ブロッサム・ディアリー 1958年
知る人ぞ知る名盤、、、、のはずだったが、けっこう有名になってしまったアルバム。
学生時代、ジャズ研の歌ものでブロッサム好きなヴォーカルとよく演ってました。
初めて聴いた時は、それなりに衝撃的でした。それまでの女声ジャズヴォーカルとは180度違っていて。
エラ(・フィッツジェラルド)、サラ(・ボーン)、ビリー(・ホリデイ)はもちろん、カーメン・マックレー、アニタ・オデイ、クリス・コナー、アン・バートン。全員が全員、怖い怖い。
カサンドラ・ウィルソンとか尖がってるし、ダイアン・リーブスとかキレッキレだし。とてもじゃないが近寄れない感じ。
そんな女声ジャズヴォーカルのラフレシアの群れに咲いたネモフィラな感じがブロッサム。
エスプリを効かせているがやはり歌はキュートでプリティであり、かつ、レイ・ブラウン大先生とエド・シグペン師匠を堂々と従えたピアノヴォーカルは理屈抜きで普通に良き。
肩肘張る必要なくジャズを聴くならこの一枚。表題曲も素晴らしいが、特筆すべきはB面4曲目の「Manhattan」。本作の2年前にリリースされた大先生の元嫁のエラ・フィッツジェラルドのテイクとは全然違う。
何と言ってもこのバラードにおける歌心全開のレイ・ブラウン大先生のプレイは、めったに聴けるもんじゃないくらいの大サービス。
聴くたびに勉強になり参考にさせてもらっている。滋味あふれるというか、味わい深いプレイとはまさにこのことなり。
現代にまで脈々と続くジャズベースの礎を作ったジミー・ブラントンの直系であるレイ・ブラウン大先生は、いつ誰のアルバムでも決して手を抜かず気を抜かず、クラシックに裏打ちされた技量で常に正確な音程とタイム感を提供し、スウィングとは何かを完璧に理解したイカしたフレーズとグルーヴで生涯にわたって私たちを楽しませてくれた。
いつも聴きながら「うんうん」と頷きながら膝を打ち「こうでなきゃ」と得心する私が独断と偏見をもって誤解を恐れずに言うなら、このアルバムがレイ・ブラウン大先生のベストテイクであると思う。異論は認める。
アルバム全編に散りばめられた宝石のようなベースラインのアイデアの数が尋常じゃない。大先生、いくら何でもちょっと大大々サービスし過ぎじゃないですか?
肝っ玉母さんもいいのだろうけど、ニューヨーク生まれのパリジェンヌとのレコーディングにウキウキしてる大先生の超絶気合の入ったプレイを浴びると、何かちょっと若返る気がする。
気持ち、わかりますよ、大先生。寄る年波には逆らわない。

