バラード/ジョン・コルトレーン 1962年
初めて聴いたコルトレーンのアルバムはこれだった気がする。「至上の愛」だったかもしれないが、いずれにしろ二枚同時に買ったはずなので、どちらかが先だったと思う。
第一印象で「変な音だなぁ」と思ったのは強烈に覚えている。
後になってサンボーンのアルトも変な音だということに気付くが、これはサンボーンから入ったからだし、比較する他のアルト吹きそのものが少ないので仕方ないのかもしれない。
何故か自分は親戚の叔父から譲ってもらったレコードの中にあったスコット・ハミルトンやソニー・ロリンズをテナーの音だと思っていたので、トレーンの音にあった違和感はけっこう長く続いたと思う。
コルトレーンに限らず、エリック・クラプトンなども良い例だが、ミュージシャンは自分のやりたい音楽を追求しちゃったアルバムは大抵売れないので、セールスの都合で合間にわかりやすいヒットを狙ったキャッチーなアルバムを作りがち。
トレーンもたびたびこの手のミーハー(←死語)向けのアルバムを世に送り出している。が、これは単なるミーハーの枠に収まらない出色の出来となっていると思う。
最近、JBLの4333AWXもどきがやっとこなれてきて本領を発揮してきた感じがしている。
発音方法が通常のコーン型スピーカーと違うので、当たり前といえば当たり前なのかもしれないが、基本的にはメガホンと同じ発音機構のホーンスコーカーから聴こえるブラスの音は、管楽器の発音機構に近いので再現度や親和性が高いのだと思う。
音の良し悪しの判断基準は人それぞれだが、前後左右のパースペクティブがどうのとか、高音域の繊細さがどうとか、そういう基準のオーディオ的なものとは無縁ながら、この楽器の鳴り方のリアルさこそがおそらくJBLの真骨頂なのだと思う。
対してホーンスコーカーはクラシックの弦楽器などが苦手だと言う人がいるが、天井桟敷で聴くような幽玄な響きが好きだという人には向かないというだけで、松ヤニが飛び散っているのが見えるかのようなガッツのあるストリングスのほうが会場の雰囲気に近いと思う。
そんなわけで、JBLで聴くトレーンは昔とは違った趣があって、変な音でもなくちゃんとした音でもなく、コルトレーンが真摯に音楽に取り組んでいることがこのミーハーなアルバムからもダイレクトに伝わってくる。今の仕事に就いてから、音楽を聴いている時間が一番長い時期になってる気がする。
よりにもよってこの真夏のクソ暑い最中に、コッテリしたジャズを聴きたくなるのは何故なんだろう?
寄る年波には逆らわない。

