2022.07.25 So/Peter Gabriel

音楽

 So/ピーター・ガブリエル 1986年

 何年かに一度、必ずやってくる元ジェネシス祭り。ジェネシス本体ではなく、フィル・コリンズやこのピーター・ガブリエルのような、ジェネシスの後にソロをリリースしている元ジェネシスのメンバーのアルバムを何故か無性に聴きたくなる時期がある。

 ピーター・ガブリエルは、ほぼすべてのソロアルバムでほぼ全編トニー・レヴィンがベースを弾いている。
 この5枚目のアルバム「So」は、’80年代真っ盛りなので、とにかくポップ。後の民族音楽ブームを先取りした、それなりに先進的なサウンドだが、キャッチーなベースラインという意味ではトニー・レヴィンの才能が爆発している。

 オタク的には、アクティブサーキット搭載のフレットレスベースに深めのコーラスとリバーブをかけて、ピック弾き!!
 これだけだと、キング・クリムゾンに在籍しているというプロフィールも相俟ってやや変態ベーシストのように思えてしまうが、プレイは、フレーズは、音色のチョイスは、すべてが完璧である。

 特に2曲目の「スレッジハンマー」は、レイ・パーカーJr.の「ゴーストバスターズ」という映画の主題歌で弾いてるルイス・ジョンソンのべースラインに対するトニー・レヴィンのアンサーともとれる、強烈なポップさと音の芯の太さと時代の雰囲気を確実に捉える感覚の鋭さがぎっしり詰まっている。

 かつてプログレッシヴ・ロックがその果てに求めたロマンのようなものが、ピーガブの民族音楽志向の向こうに結実されているような気がする。
 誤解を恐れずに言えば、このアルバムはピーター・ガブリエルとトニー・レヴィンの合作であると言っても過言ではないくらい、トニー・レヴィンのエッセンスが詰まっている。

 決してBPMが速いわけでもない。音は拾える。譜割もわかる。しかし、同じように弾けない。
 ラリー・グラハムやミッシェル・ンデゲオチェロもそうだが、トニー・レヴィンも間違いなくワンエンドオンリーのベーシストであると再認識。
 決して奇をてらっているのではなく、音の芯の太さを出すためにフレットレスを使い、失われがちな音のエッジを出すためにピックで弾き、オケに馴染ませるために深めにエフェクトをかけるためにバッファー搭載したアクティブサーキットをチョイスする。必要な要素を必要なテクニックで提供できる技量と、そのサウンドメイクにぴったりのフレーズ選びのセンスにはただただ脱帽するしかない。

 次の元ジェネシス祭りがいつになるかはわからないが、iPod用にCDを買った。
 寄る年波には逆らわない。

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