ザ・サイドワインダー/リー・モーガン 1964年
ブルーノート・レーベル最大のヒットと言われるアルバム。ビルボードも席巻した。
8ビートのジャズロックというか、この同年のハービー・ハンコックの「エンピリアン・アイルズ」に入ってる「カンタロープ・アイランド」など、時代に咲く仇花としての要望というべきか、中途半端ではあるがひたすらキャッチーで能天気だが兎にも角にも売れて何よりだ。
こうして発売より約50年の歳月が過ぎた今、なぜかCDで買ってみた。
個人的には、リー・モーガンはこのヒットとは裏腹に音楽的には迷走を始めていたと思う。低迷といってもいいかもしれない。
このアルバムの売り上げもあってか、同時期に録音されながら後発のリリースとなったハードバップのアルバム「サーチ・フォー・ザ・ニューランド」などは、当時の評論家の受けは良かったようだが、個人的にはリー・モーガンの迷いがそのまま音になっている感がある。
「サーチフォー」はバップでもなくモードでもなく、煮え切らず目指すべき方向を失ったプレイをしていると思う。しかし同じように迷いの中でリリースしたキャッチーな「サイドワインダー」は大ヒットした。してしまった。
マイルスやハービーのように、求道的に実験的な試みをするタイプの人ではなかったのかもしれない。
来るべき’70年代に予感だけを残して、リー・モーガンは、’72年に年上の内縁の妻に撃たれ33歳の若さでこの世を去る。
センセーショナルなので夭折するジャズメンの系譜のようではあるが、この人はやり尽くし燃え尽き全うしたタイプだと思う。
ジャズでは珍しい誰でも聴いたことがある名盤とも言えるし、アナログよりもCDで聴いたほうがライトで良さげな気もして購入してみたが、溌剌としたイメージというよりは、ロシア製の電球のように、フィラメントが切れる直前の最後の輝きで爆発したかのような儚さを感じてしまい少し切なくなった。
寄る年波には逆らわない。

