フィーリング・イズ・ミューチュアル/ヘレン・メリル 1965年
歌もの、とりわけジャズヴォーカル、意外と苦手です。
女声は、若いころは可愛い感じで、敢えて声を枯らしてレコーディングに臨むなど涙ぐましい努力をする人もいるくらい。
しかし、加齢とともにドスが効いてきて、もう最後は化け物レベルで怖い怖い。その表現はしかし、時に説得力以上の何かを醸し出したりする。
片や男声は、若いころは激しい表現が得意ではあるが、たいていは晩年に甘い声となり一種独特の何とも言えない魅力とは違うダメ男っぷりを発揮したりする。
結果、ホイットニー・ヒューストンのようなジャズの外からジャズを見てるシンガーがエッセンスを凝縮して表現したジャズのほうがそれっぽかったりする。
アニタ・オデイやクリス・コナー、アン・バートンといったスタンダード中のスタンダード以外は、ちょっと怖くて手を出せないイメージ。
このアルバムは、静かなるヘレン・メリルといったところか。
バックのメンツもキレッキレ。音楽的レベルの高さを意識させない超絶ド渋テク。
のちのカサンドラ・ウィルソンのようなモダーンな雰囲気をまとった隠れた名盤。
ウィズ・クリフォード・ブラウンの頃より透明度が上がったかのような、ドスが効き切る前の漂うヘレンのヴォーカルには一聴の価値あり。

